三線に魅了された沖縄旅行

   2019/04/23

先日の3連休、初めて沖縄を訪れました。
でも明確な目的があったわけではありません。毎年この連休は両親と南伊豆の休暇村に赴き、ゆっくりするのが通例でした。ただ昨年の夏、母が心臓を患い父も2月に入院をする、ということもあって、伊豆行きは中止となってしまいました。
「せっかくの休み、どこか行こうかな?」冬でもバイクを走らせるところ、と浜松や南紀を考えていたのですが、偶然開いた「じゃらん」のアプリで沖縄ツアーが目に留まりました。

「そういえば47都道府県で上陸したことのないところ、沖縄だけだったな…」

そうなんです。バイクツーリングを趣味としている私は、北は北海道宗谷岬から、南は鹿児島県佐多岬までバイクで巡りました。しかし、沖縄はさすがに自分のバイクで走るということは考えづらく、今まで旅行の目的地として取り上げたことがなかったのです。
「2泊3日だけだし、バイクから離れて普通の旅行をしてみるか。」そう考えて飛行機、那覇市のホテルを予約。普通は旅行前日までワクワクして計画を練るものですが、県立高校入試、発表、お別れ会と目白押しの毎日で、お別れ会の翌日、始発電車に乗って羽田空港に向かったのでした。
カバンの中には着替えと小さなガイドブック一冊、しかもほとんど目を通していない状況で…。

電車、飛行機とほとんど眠りこけていた自分は、那覇空港について初めてガイドブックを開くような有様でした。
とりあえず国際通りのそばにあるホテルに向かい荷物を置こうと考えました。ゆいレールに乗り、ガイドブックを開くと、沖縄ではレンタカーでの旅行が普通だとのこと。県庁前まで行き、予約しているホテルに入り荷物を置き、フロントで尋ねました。「近くでレンタカー借りられるところありますか?」
県庁横のニッポンレンタカーで「車貸してください」と頼むと、「ご予約は?」「…いえ、していません。」「すいませんが、この土日、予約の方でいっぱいで今から手配することは…」
甘かったです。車社会の沖縄。観光産業中心の沖縄。車がないと観光らしいことはできません。準備不足の自分を恨みながらどうしようかと考えました。
ホテルのそばのファストフード店A&Wに入ってルートビアとハンバーガーを頼んでスマホで検索です。しかし県庁そばのレンタカーは軒並みアウトです。

「ゆいレールで、いけるところ行くかぁ…」と仕方なく考えていたところ、スマホ検索に「レンタバイク」の文字が!
「そうだ! バイクなら空きがあるかも!?」早速電話をしてみると、「はい、車両ございますよ!」とのこと。ゆいレールで空港手前の赤嶺駅まで戻り、5分ほど歩くとバイク屋さんが見えてきました。モトフリークウイリー那覇店。きれいな店舗内に入ると若い店長さんが待っていました。
レンタカーに比べてそんなに割安ではありませんが、ヘルメット代と保険も含んで2日で1万円少し。HondaのCB250FというETC付きのバイクで沖縄めぐりが始まりました。
「明日は雨が降りそうですが、雨の沖縄の道路は気を付けてくださいね。滑りやすいですから」店長さんのアドバイスを背に受けて、ポカポカ陽気の陽だまりの中を走り始めました。沖縄本島の南の海を見ながら、バイクを走らせて、一番近い観光スポット「ひめゆりの塔」に向かいます。沖縄戦の最中に師範学校の女生徒が看護活動にあたったところ、というレベルの予備知識だけで向かいました。
沖縄に来て、最初に訪ねたのが「ひめゆりの塔」というのは、正直インパクトがありました。のんびりした陽気、美しい海との対比が大きすぎました。改めて沖縄の歴史を再確認した次第です。
その後、平和祈念公園、ニライカナイ橋、斎場御嶽を見て回り、那覇のホテルへ。一日目終了です。

斎場御嶽前でレンタバイクと

二日目、曇りの中、北に向けてバイクを走らせます。名護のあたりで雨が降ってきました。店長さんのセリフを思い出して慎重に運転をします。カーブではしっかりと減速して安全運転に努めました。「そんなに大変じゃないなぁ」と思いながら赤信号で停止したところ、
「うおっっとーーー!!!」
停止して左足を道路につけたとたん、左足が「ズルッ」と滑ったのです。しかし、借り物のバイク、なんとか踏ん張って立ちごけは防ぎました。
「あっぶねー、滑るってこういうことか…」
調べてみると、沖縄のアスファルトは石灰の代わりにサンゴが入っているために県外の道路より滑りやすいんだとか。店長さんの言っていた意味がよくわかりました。雨の中、バイクを走らせる危険がよくわかり、二日目は万座毛、今帰仁村、本部のソーキそば街道を楽しんで早めに那覇に帰ってきました。

雨の中での万座毛

岸本食堂でソーキそば

バイクを返却し、3時過ぎにホテルに帰ってきましたが、やることがありません。仕方がない。小雨の中、国際通りをぶらつくことにしました。土産屋さん、かりゆしウエアの店、牧志の常設市場で見たこともない食べ物をのぞきながら歩いていくうちに、牧志のはずれにある三線のショップの前に立っていました。
三線は室長の先生が弾いているところを見たことがあり、まったく興味がないわけではなかったのですが、普段弾いているギターとは全然違うようで、店の前で並んでいる商品を所在なく眺めていました。すると、中から、「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」と店員さんが声をかけてくれました。
「三線のことは何も知らず、人が弾いているところを見ただけです」と告げると、店員さんは丁寧に解説を始めてくれました。
どうやら室長が弾いていた曲はBEGINの「オジー自慢のオリオンビール」という曲だということが判り、店員さんはそのサビを弾いてくれました。
「へぇ…」私が興味深い顔をしたら、「弾いてみます?」。そこから2時間近く三線教室が始まりました。フレットがない三線は、目で見て引くというよりも耳で音を確認しながら弾くということが判りました。
ある程度フレーズが弾けると面白くなってきました。「どうですか、一つ購入しませんか?」と店員さんに口説かれましたが、さすがに予算がありません。でも興味は膨らんでいきます。
「興味があるなら三線ライブ行ってみたらどうですか?」国際通りにある居酒屋の多くは、三線でのライブを行うお店が多いのだそうです。店員さんに「鳩間島」というお店を教えてもらって入ってみました。
お酒を飲んで30分ほどしたらライブが始まりました。民謡中心のライブなのでそんなにノリはよくないのでは、と思っていましたが大間違い。とくに最後のほうでの「オジー自慢のオリオンビール」「島人ぬ宝」あたりではみんな大合唱で指笛、太鼓で大騒ぎでした。
ライブが終わって、自分もホテルに戻ろうかな、と考えていた時でした。先ほど舞台で三線を弾いていた人が私の所へ来て「おにーさん、さっき曲に合わせて指、動かしていたね。三線弾けるの?」「いえ、さっきお店で少し習って…」
私がここへ来た顛末を話すと、「それじゃあ、よかったら弾いてみるかい?」と言ってくれて、先ほどの舞台の隅でまたまた三線練習が始まりました。「沖縄の人は優しいです」とみんなが言っていた意味がよくわかりました。
すごい濃い体験をして、心が一杯になってホテルへ戻りました。おそらく車をレンタルしていたらこんな体験はできなかったでしょう。翌日はゆいレールで首里城などを見て回ったのですが、駅のそばに三線の工房を見つけて思わず入りそうになっている自分がいました。

こちらに戻ってからも興奮が冷めません。室長の先生に三線を習ってきたことを話したら、わざわざ貸してくださいました。楽譜もCDも貸してくれて、こうなったら購入するしかないな、と先日、入門用の人工革三線を購入しました。

購入した三線

現在、沖縄から戻って一か月、「オリオンビール」はマスターしました。
先日、新宿にある三線ショップに行って、本革の三線を見てきました。そのうちの一本を触らせてもらい「オリオンビール」を弾いたところ、「本当に三線触って一か月なんですか?!」と店員さんに驚かれました。どうやら、結構難易度の高い曲のようです。
「一日、どのくらい練習しています?」考えてみると家に帰ってから1時間はCDに合わせて弾いています。改めて、相当ハマったな、と感じました。
いままで北海道ツーリングばかりで、南の島に対する関心はほとんどなかったのですが、今回改めて沖縄の魅力を理解しました。また機会があったら行ってみようと思います。


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