神奈川県公立高校 入試制度解説
現在の神奈川県の公立入試は、
自己推薦型の「前期選抜」と、学力検査を行う「後期選抜」という
2回の選抜機会のある入試方式です。
 2004年度入試までは、神奈川県の公立高校は18学区に分かれていました(下記参照)。自分の住む「学区」の「高校を志願するのが基本で、学区外受験者は定員の25%までしか受け入れられませんでした。
 ところが、2005年度入試からは、県立高校の学区が撤廃され、全県一学区となりました(市立高校には学区があります)。この学区撤廃によって、高校選択の自由度が大幅に拡大し、伝統校や人気校には全県的に志願者が集中するようになりました。
 2011年度 前期選抜の選考方法
 前期選抜の選考基準例
 2011年度 後期選抜の選考方法
 
後期選抜・第1次選考 資料の計算方法と具体例
 公立高校の独自入試とは?

2011年度 前期選抜の選考方法
 前期選抜は、学校長の推薦を必要としない、いわゆる自己推薦入試です。学力検査はありません。

◎募集人員
 前期選抜の募集人員は、総定員の20%以上50%以内の範囲(※)で、各高校ごとに設定します。上位校では20%または30%、中堅校では50%に設定しているところが多くなっています。
※クリエイティブスクール(田奈高校、釜利谷高校、大楠高校)は、前期選抜の募集比率が最大80%となります(2010年度は田奈・釜利谷・大楠高校は80%)

◎志願に必要なもの
 志願者は「入学願書」と「自己PR書」を志願する高校に提出します。「自己PR書」は、面接検査の際、参考にするものです。

◎志願変更は?
 前期選抜では一度志願すると変更はできません。

◎検査内容
 前期選抜では面接を行います。さらに、必要に応じて作文、実技検査、自己表現活動を行う場合があります。

◎選考方法
 事前に公表される「総合的選考の選考基準」に基づき、調査書における学習の記録(内申点)や記載事項(資格・部活動や生徒会の活動実績など)、面接の結果、および各校の必要に応じて実施した検査の結果(作文・実技検査・自己表現活動)を総合して選考します。

◎辞退はできる?
前期選抜と私立高校とを受験し、両方受かった場合、前期選抜合格を辞退して、私立高校へ進学することも可能です。

前期選抜の選考基準例 ※この選考基準は2010年度入試のものです
 前期選抜は、各高校が事前に公表する「総合的選考の選考基準」に基づいて選考されます。
 選考に使用する資料は、「調査書の学習の記録」、「調査書の記載事項」、「面接の結果」、「必要に応じて実施した検査の結果」ですが、その資料の扱い方、点数の付け方などに、各高校の特徴が現れます。
 2010年度入試の選考基準の中から、いくつかを紹介します。

2011年度 後期選抜の選考方法
 後期選抜は学力検査を行います。県の共通問題だけではなく、各高校独自の問題でも学力検査を行うことができるようになりました。
◎募集人員
 後期選抜の募集人員は、各高校の総定員から前期選抜の募集人員を引いた数字です。2010年度入試では、湘南高校、横浜翠嵐高校の2校が総定員の80%の比率を採用するなど、多くの公立上位校が後期選抜の比率を高く設定しています。

◎前期選抜の合格者は志願できる?
 前期選抜の合格者は、後期選抜には志願できません。

◎志願変更は?
 後期選抜は、志願変更期間中、一度に限り変更することができます。

◎検査内容
 学力検査を行います(※)。実施教科は英語、数学、国語、理科、社会の5教科のうち、3教科から5教科の範囲で各高校が決めた教科で行います。また、各高校独自の問題で学力検査を行う場合もあります。
※クリエイティブスクール(田奈高校、釜利谷高校、大楠高校)は、後期選抜で学力検査はなく、面接と自己表現活動による選考。前期選抜の募集比率が80%となるため、後期選抜の比率は低くなります。
選考方法1 普通科(単位制の普通科・専門コースを除く)
第1次選考(後期選抜募集人員の80%)
 調査書の学習の記録(内申点)と、学力検査の結果を合わせて選考します。内申は2年(3学期または後期。以下「2年内申」)9教科と3年(2学期または後期12月での内申。以下「3年内申」)9教科を2倍した数値を使用します。2005年度より、内申:入試=6:4 or 5:5 or 4:6から各高校が選び、その比率で100点満点に算出した数値(C点)によって合否を判定しています(数値の計算方法は下表を参照)。
 さらに、調査書の学習の記録は3教科以内で各2倍、入試得点は2教科以内で各2倍の範囲内で傾斜配点される場合があります。
第2次選考(後期選抜募集人員の20%)
 各校ごとに定めた選考基準に基づく選考が行われます。調査書については、学習の記録は資料とせず、記載事項を参考にする程度。学力検査中心で合否判定されます。
選考方法2 総合学科、専門学科、単位制による普通科、専門コース

 第1次選考・第2次選考といった区分はなく、後期選抜全ての定員が、事前に各高校が公表する「総合的選考にあたって重視する内容」に基づいた選考になります。
 学力検査の実施教科は、英語・数学・国語・理科・社会の5教科のうち、3教科から5教科の範囲で各高等学校の課程、学科、コースごとに定めた教科で実施されます。
 学力検査の他に、各高校の課程、学科、コースごと必要に応じて面接、作文、実技検査、自己表現活動を行うことができます。
 選考の方法は、「総合的選考にあたって重視する内容」に基づき、調査書における学習の記録や記載事項、学力検査の結果、及び各高校が必要に応じて行った検査の結果を資料として、総合的に選考されます。

後期選抜・第1次選考 資料の計算方法と具体例
 後期選抜の第1次選考に使用される入試資料は「内申点」と「入試の成績」です。
 内申点は2年内申の9教科合計と、3年内申の9教科合計を2倍した数値を使用します。ただし、各高校の判断で3教科以内、各2倍の範囲で傾斜配点をつけることができます。
 入試の成績は、英語・数学・国語・理科・社会の5教科のうち、3〜5教科の範囲で各高校が決めた教科の数値を使用します。こちらも、各高校の判断により2教科以内、各2倍の範囲で傾斜配点をつけることができます。
 以上の内申点と入試の成績を6:4、5:5、4:6の比(各高校ごとに設定)で計算した数値で選考されます。具体的な数値の求め方は下表をご覧ください。

C点を計算してみよう!!

内申点と入試得点(予測)を入力して、実際にC点を計算してみましょう。

>>計算ページはコチラです<<

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後期選抜の特徴(1)
内申:入試の比率は6:4、5:5、4:6より各高校が選択

 内申と入試の比率は、6:4、5:5、4:6の範囲で各高校の判断で決めることができます。
 たとえば、内申を重視する高校なら内申:入試=6:4に、入試重視なら4:6としています。
 右の表で6:4、5:5、4:6、それぞれの場合に、内申のポイント(135点満点)が入試得点の何点に該当するかを示しました。この数字によって、内申1ポイントの差を入試何点で逆転できるかを考えることができます。6:4の場合、内申1ポイントは入試約2.78点に当たるということで、例えば内申1ポイントの差を逆転するには入試3点が必要です。ところが4:6の場合、内申1ポイントは入試約1.23点に当たるので、例えば内申3ポイントの差を入試4点で逆転できるということになります。つまり4:6になると、かなり入試重視の傾向が強くなることがわかります。
 また、総合的選考を行う小田原高校では、入試7割対内申3割という入試重視の比率を採用しています。
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後期選抜の特徴(2)
入試・内申の教科で傾斜配点される場合がある。

 普通科の第1次選考でも、入試の学力検査において2教科以内各2倍、内申では3教科以内各2倍の範囲で傾斜配点される場合があります。
 傾斜配点とは、入試教科のうち特定の教科の配点を大きくすることで、例えば、英語重視の特色を考えている高校なら、入試5教科のうち英語だけを2倍の配点(100点満点)とし、計300点満点とすることができます。
 また、理系重視の高校なら、数学と理科の配点を2倍とし、計350点満点とするのも可能になります。また、逆に文系重視型の配点も考えられます。
 さらに、中学校から提出される調査書(内申)の教科についても、3教科以内、各2倍の範囲で傾斜配点ができるようになるため、こちらも高校によって特徴が表れそうです。
 2010年度入試の実施校は、城山高校が3年の体育・技術家庭・音楽or美術を2倍(調査書)と最高得点1教科を2倍(学力検査)と、菅高校が英語を1.2倍(学力検査)のみです。
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後期選抜の特徴(3)
入試で高校の独自作成問題が出題される場合がある。

 以前の神奈川県の公立入試は、全ての公立高校が共通の問題で行われていましたが、2005年度から、県の共通問題に換えて、各高校による独自問題の出題が可能となっています。また、2009年度入試より、県立の独自問題実施校間で、一部共通の問題も出題されています。詳しくは下の部分をご覧ください。
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公立高校の独自入試とは?

 独自入試とは、県全体の共通問題に換えて、その高校が独自の問題で実施する入試のことです。独自入試実施校の拡大により、内申重視型入試から当日勝負の実力型入試への流れは、ますます拡大していきそうです。

独自入試
実施高校

<英数国3教科が独自問題>
 湘南、翠嵐、柏陽、平塚江南、小田原、横須賀、光陵、
 多摩、横浜サイエンスフロンティア
<英数2教科が独自問題>
 鎌倉
<英語のみが独自問題>
 横浜国際(旧外語短大付)

逆転合格がより可能に

 普通科(単位制の普通科、専門コースは除く)の場合、後期選抜第1次選考では調査書の学習の記録と、学力検査の結果を合わせた選考となりますが、第2次選考では、各校ごとが定めた選考基準に基づく選考が行われます。その際、調査書については、学習の記録は資料とせず、記載事項を参考にする程度。学力検査中心で合否の判定がされます。つまり、内申では合格ラインに届かない生徒も、当日の入試で高得点をとることで、合格することが可能となるのです。特に独自入試では点差が開くので、逆転合格の可能性がさらに高くなります。
 また、第1次選考でも、内申と入試の割合によっては十分逆転が可能です。入試6割の場合、内申1ポイントは入試約1.23点に相当します。つまり内申3ポイントを入試4点で逆転することができるのです。
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独自入試の導入で神奈川県公立入試はどう変わったか

 従来、神奈川県の公立高校入試の場合、トップ高合格者の平均点は250点満点で230点台となるのが一般的でした。
 この場合、内申の低い生徒が仮に250点満点をとったとしても、入試で逆転できるのは十数点分、内申点に換算すると5〜6ポイント(135点満点)くらいの幅しかなかったわけです。
 ところが独自入試ということになると、30〜40点程度の差はごく一般的なものとなります。それに加えて、独自入試を実施する高校は入試:内申の比率を従来の4:6から6:4に変更していますから(小田原高校では単位制高校のメリットを生かして入試7割を実施)、入試の比率が高まり、当日の実力勝負中心の入試になってきています。
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独自入試が11校に拡大!

 2010年度入試では、市立横浜サイエンスフロンティア高校が新たに独自入試を実施し、実施校は全部で11校に拡大。全県的な上位進学校は、厚木高校等を除いて、ほぼ全て独自入試実施校となりました。
 独自入試実施校を中心として公立高校のランク再編が進み、湘南・横浜翠嵐・柏陽の3校が全県的なトップ進学校として認識され、そのポジションを確立しつつあるようです。
 2009年度入試から、県立の独自入試実施校間で、独自入試の中に一部共通の問題が使用されるようになりました。
 独自入試では、難度の高い問題が出題されるため、共通問題に比べて大幅に平均点が下がり、差の付く入試になっています(上表を参照)。
 ここ数年平均点が高めだった英語は、それぞれの高校で問題量、設問などの工夫が見られ、平均点が30点台の高校も見られるようになりました。例年平均点が低い湘南高校の国語は、平均点の高い高校とは10点以上の開きがあります。また、3教科の中で数学の平均点が低い高校が多く、一筋縄ではいかない問題が並んでいます。
 このように極端に平均点の低い教科の場合、その他の教科の得点状況で明暗が分かれます。残りの教科で十分得点できていれば、合格ラインに届くこともあります。
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 ステップのチャレンジ模試→詳細はこちらを参照)で得点できる生徒は、独自入試実施校受験が有力な選択肢であることが鮮明になりました。神奈川県公立高校入試は、従来の内申中心から当日の実力勝負中心へと、大きく変わってきています。



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